
いつもブログをご覧いただきありがとうございます!
今回は、勉強メモみたいな投稿となります。ご容赦ください。
今回はハムストリングスの肉離れについて。
競技によっても発生率は異なるものの、下肢の傷害として発生率高め。
スプリント動作を伴う競技において多く、下肢の肉離れの中でも最も発生率が高いと推測されます。
ハムストリングス内の筋別発生頻度
内側ハムストリングスである、半腱様筋と半膜様筋。
外側ハムストリングスの大腿二頭筋(短頭・長頭)。
ハムストリングスの肉離れの受傷機転には、大きく2種類が考えられます。
⑴最大速度のスプリント動作での受傷(スプリントタイプ)
⑵股関節屈曲、膝伸展により生じる過伸張による受傷(ストレッチングタイプ)
⑴は大腿二頭筋、⑵は半膜様筋を損傷する可能性が高いとの事。(ふむふむ)
で、それぞれの損傷部位の解剖学的特徴をMRIで分析してくれた結果…
「大腿二頭筋」
Askingら(2007年)やKoulorisら(2003年)De Smetら(2000年)の論文をまとめた結果
大腿二頭筋の肉離れは筋腱移行部での損傷が多く、特に近位部の損傷が多い事が示唆されたと。
なんで?と思ったら、これの見解も示されてた。
近位筋腱移行部の腱膜は、半膜様筋・半腱様筋と異なり
遠位の腱膜と比較して細いという解剖学的特徴が報告されたと。
5.8±1.8mm(3.1〜9.2mm)と個人差があるものの
遠位と比べて近位の腱膜が細い人程、近位筋腱移行部の伸張率が大きかった。
恥ずかしながら、知らなかった〜。
要するに、細い大腿二頭筋腱膜を持つ選手はリスクが高いと言える。
そういう人がより少数である事を願う…
「半膜様筋」
受傷機転がストレッチングタイプである場合、全例で近位遊離腱の損傷を含んでいる。
ストレッチングタイプの受傷メカニズムは十分解明されていない。
また、その他の受傷機転と損傷部位との関連性について一定の見解も得られていない。
受傷メカニズムの研究すら見当たらないと。
これ意外でした。
要するに、ストレッチングタイプよりもスプリントタイプが多い。
と言うことは、半膜様筋の肉離れ自体が案外少ない!?のかな。
Koulorisら(2003年)の研究では、154症例中、半膜様筋は21例。
微妙〜。12%程度。
ちなみに、内16例が筋腹中央、残り5例が遠位1/3の損傷。
「半腱様筋」
これが面白くて、半腱様筋の近位筋腱移行部の損傷は大腿二頭筋との合併損傷を起こす事が多い様。
Cohenら(2011年)は、38例中12例で半腱様筋の損傷を認め
内9例が大腿二頭筋のとの合併損傷であったと。
また、損傷部位は、近位接合部での損傷との報告が。
要するに、半腱様筋は大腿二頭筋との合併損傷が多く
その際は近位筋腱移行部での損傷である事が言えると。
その理由は、おおかた予想通りで、起始部(坐骨結節)において共同腱を持つ事。

共同腱、また隣接部の癒着が原因で起こりやすいのかな?
(半腱様筋は共同腱に対して、羽状角を持って分岐。大腿二頭筋は共同腱の坐骨結節から5.7±1.5cm離れた位置からのみ分岐。)
受傷メカニズムの分析については、さっき記載した様に
ストレッチングタイプは無く、スプリントタイプのみ。
スプリントタイプの受傷メカニズムを
3次元動作解析を用いた筋骨格シミュレーションでみた結果
遊脚期後半の接地直前で最も伸張されていたと。
ランニングフェーズの画像の1番左かな。↑
また、特に大腿二頭筋が1番伸張率が高いとの事。↓
要するに
遊脚期後半の接地直前で最も伸張されつつ伸張性収縮を強いられ、受傷すると。
このテスト面白い。
↓ Malliaropoulosら(2011年)の肉離れの損傷度を予測するテスト(Active knee extension test)
背臥位で股関節・膝関節屈曲90度から自動膝伸展した際の制限角度から重症度を4段階に分類するというテスト。
グレードⅠ;10度未満、競技復帰まで7±2日
グレードⅡ;10〜19度、競技復帰まで11.7±2.4日
グレードⅢ;20〜29度、競技復帰まで25.4±6.2日
グレードⅣ;30度以上、競技復帰まで55±13.5日重症度を反映する可能性が示唆されている。
ちなみに、◯◯度とは、伸展0度に対して何度マイナスかという事。
ちなみに、このデータ↓を見る限り
近位遊離腱(半膜様筋)の損傷、近位筋腱移行部の損傷がグレードⅣに当たる感じかな?
肉離れで嫌なのが、再受傷。
これについても面白いデータが。
筋損傷長が60mmを超えた場合、再受傷の危険性が高いとの事。
MRIもしかしたらエコーで見ないと分からないから、肉離れに対する、病院での精査の必要性は考えないとな。
もしくは、自分でエコー診れる様になるかだな。
最後に、肉離れのリハについて。
スプリント・ストレッチングそれぞれのおおよその復帰期間は
スプリントで平均16週
ストレッチングで平均50週
復帰期間の短縮に効果があるとされるのは、ストレッチの介入。
トレーニングの介入は、復帰時期を短縮するは言えないのが現状。
しかしながら、アジリティTRや体幹TRの介入は、再受傷のリスクを軽減する可能性があると。
また、トレーニング介入のデメリットの報告がなさそうなので
基本は介入する方向で進めれば良いのかなと思います。
筋に対する遠心性ストレスのみで無く、体幹やアジリティなどの取り入れるのがベター。
参考図書はこちら↓
